言うだけなら簡単ですが…… 本当のお客様第一とは?

言うだけなら簡単ですが…… 本当のお客様第一とは?

住宅業界に従事している人ならば、誰もが「お施主様のためを想って…」という気持ちを持っていると思います。
家は多くの人にとって一生に一度の買い物です。
コンサルとしてはお施主様が「建ててよかった!」と笑顔になれるような提案をしたいものですね。

お施主さんに笑顔になっていただくにはどうしたらいいのでしょうか。
すべてのお施主さんの希望を叶えることが、唯一の道でしょうか。
そうとは限りません。
ほとんどのお施主さんは、家づくりに関しては初心者といってもいいでしょう。正しい知識や経験を持ち合わせていることはめったにありません。氾濫する情報に惑わされて、何が正しいのかわからない状態にある方がほとんどです。
そんな時は、住宅コンサルタントは、プロフェッショナルとして、時には“お施主様のためを想って”、反対をすることが必要になることもあります。
「お客さま第一」と言葉で言うことは簡単ですが、本当の「お客さま第一」とは、自分がお施主さんの身になって家に住むことまでをきちんとイメージし、住んでからの生活についても、ちゃんとした責任を持てることなのです。
時にはお施主さんと意見がぶつかっても、きちんと言うべきときは言う、ということが本当の意味での「お客さま第一」でしょう。
お施主さんに反対することは、少し辛いと感じるかもしれませんが、今回は、それによってどれほど両者の信頼関係が深まるのかを改めて考えてみたいと思います。

よくある「お客さま第一」の勘違い

「お客様第一」はサービスの基本であり、多くの業界でモットーとされていることと思います。
しかし、その中でも特に住宅業界でそれが重要とされる理由は、家はその場限りではなく、一生のお付き合いになる買い物だからです。それにも関わらず、最近では「お客さま第一」の真意を勘違いしている人も多いのが現状かもしれません。

多くの場面で見られるのが、住宅コンサルタントではなく、単なる“御用係”となっている場合です。
そのような担当者は、お施主さんの希望を何でも叶えようとしてしまいます。
「オシャレな空間にしたいから、できるだけ間接照明を多くして収納も魅せる収納にしたい」
とお施主さんが言えば、そのように間取りを変更し、
「リビングに薪ストーブを設置したい」
と要望があれば、そそくさとその手配をしてしまうことです。
お施主さんは素早く何でも要望を聞いてくれる担当者に、その時は感謝してくれるかもしれません。
でも……

本当に、お施主様のことを想うなら

お施主さんの要望をすべて叶えようとすることは、本当にお施主さんのためになるのでしょうか。
例えば、間接照明の数が増えれば電気代も上がりますし、電球が切れた時の手間もかかります。今流行りの“魅せる収納”も、そのお施主さんのライフスタイルに本当に合っているのか、一度話し合う必要があるでしょう。人気の薪ストーブも、火がある生活は素敵ですが、薪をストックするには場所もコストもかかりますね。小さいお子さんがいる家庭では、薪ストーブがあることで危険を伴う恐れがあり、癒しどころかストレス材料になってしまうかもしれません。

こういった心配ごとは、お施主様の楽しみを一度止めてしまうことにもなるので、住宅コンサルタントとして口にすることが難しいかもしれません。こういったことに気がつかない人もいるでしょう。

でも、こういったことをきちんと想定せずに進めてしまうと、住んでみてから予想しなかった事態が起こって、お施主さんは「失敗だった」と思うでしょう。担当者がなじられることはないかもしれませんが、お施主さんは笑顔になるどころか、とても悲しい気持ちのままそこに住まなくてはいけないことになるのです。

本当にお施主さんのことを想う住宅コンサルタントであれば、言いにくいこともはっきりと言うべきです。
それが本当の意味でのお施主さんのためなのです。

お施主さんはわがままに。整理をするのは住宅コンサルタントの役割

とは言え、お施主さんのためを想っていても、計画が順調に進んでいたり、お施主さんの希望がとても強かったりすると、意見を差しはさむことが難しい場合もあるでしょう。
そんな時は、住宅コンサルタントの仕事とは、“整理をする役割”であるということを改めて認識してみましょう。

お施主さんは、もちろんお施主様としてわがままであって何の問題もありません。ただし、そのお施主さんからあがってきた要望を整理できるのは住宅コンサルタントだけです。
5年後、10年後に本当にお施主さんが後悔をしないのか。
見た目だけではなくそれにかかるランニングコストや手間はどれほどなのか。
そういったことをプロの目線で説明できるのが住宅コンサルタントなのです。

このためには、お施主さんのライフスタイルやライフプラン、さらに資金状況もある程度把握する必要がありますね。
お金に関することは聞きにくいかと思いますが、長い目で考えたときにとても大切なことです。
聞きにくいから避けるのではなく、お施主さんのことを考えての上だということを説明し、その情報を共有しましょう。

言いにくいことを言うコツのひとつは、真っ向から相手の意見を反対するのではなく、まずは「そうですね。でも…」と一度受け入れてから話を進めるということです。そのような言い方をすれば、感情的な摩擦は起きにくくなります。
また、将来を見越した上で、お施主さんにとってそれがプラスであるのかマイナスであるのか、それぞれのメリットとデメリットを提示して結論の出しやすい方法で伝えることも大切です。

否定的な意見を言うことは、お施主さん側からするといい気分がしないこともあるかもしれません。
でも、たとえその場は少し苦しくても、のちのちずっと感謝される家づくりをすることのほうが、魅力的だとは思いませんか。見て見ぬふりをすることは簡単ですが、責任を持って一度真剣に向き合う方が、提案する側もやりがいを持って仕事ができるのです。

いい家をつくってお施主様にご覧いただき、お選びくださった方のために精一杯お手伝いをする。それがサティスホームです

家づくりにはとても多くの人が関わりますが、一番お施主さんとのコミュニケーションを密にとっているのは、住宅コンサルタントです。私たちサティスホームでは「悪いことも、不利なこともお施主様に正直に全部話そう」ということを徹底しています。

多くのメーカーや工務店がある中で、サティスホームを選んでくれたお施主様を裏切るわけにはいきません。
住宅コンサルタントは、「自分自身が建てたいと思えるような、いい家だけを建てる」というミッションを持ち、お施主さんの希望でも、お施主さんにとって不利となることはきちんと伝えています。

そういった日々の心構えが、お施主さんのことを心から思った提案につながり、結果的に満足度の高い家づくりを実現することができています。親子二代でサティスホームを選んでくださったり、口コミを見て問い合わせを頂けたりすることは、私たちの大きな誇りです。

まとめ

「お施主様のことを想って」と口にするのは簡単ですが、実際には非常に多くの責任が伴います。
時には否定的な意見も言わなければならないこともあるかもしれませんが、そういった中で育まれる信頼関係は、きっととても強いものになることでしょう。
山梨県の老舗工務店トップホームズ様の公式サイトには、「営業マンの行動を冷静に観察してみれば、必ず、自分でも気づかない『無意識』のボロが出ているはずです」「それを見抜くことが、いい工務店を見分けるためのポイントです」と書いてあります(「営業マンの「本音」を見抜き、いい工務店を見分ける方法」)。
「売りたい気持ちが強い営業マンは、なるべく早く自社の説明に入ろうとしてしまうので、その点を注意して観察してみてください」など、興味深い指摘もありますので、ぜひ参考にしてみてください。

家を売るということは、とてもやりがいのある仕事です。
お施主様のことを想い、多くの人に感謝をされる仕事をしてほしいと思います。