話し合いやミーティングを成功させるファシリテーターに必須の能力とは

話し合いやミーティングを成功させるファシリテーターに必須の能力とは


ビジネスの現場では、自分一人で完結する仕事は少ないと言ってもいいでしょう。多くの場合、チームで協力しあいながら目標を達成します。
日ごろ、私たちは多くの会議やミーティングを経験していますが、限られた時間内で実り多い会議は残念ながら少ないのではないでしょうか。
そのチームという場を、主体的、創造的なものにするために「ファシリテーション」は大事な能力です。
住宅業界のコンサルタントの場合は、チームとはお施主様や現場のスタッフなど家づくりに関するすべての人になります。
全員がチームとして一丸となってこそ、お施主様が幸せになれる家を作ることができるのです。
問題解決、アイデア創造、合意形成、教育・学習、変革、自己表現・成長など、あらゆる知識創造活動を支援し、促進していくファシリテーションは、リーダーシップ能力であるとともに、コミュニケーション能力とも言えます。コンサルタントにかぎらず、ビジネスパーソンとして、ぜひ身につけたい能力です。
今回は、ファシリテーションの流れを再度確認し、ファシリテーターに求められる能力を紹介していきます。

ファシリテーションの流れ

1.会議の場を作る

ファシリテーターは、会議を「アイデア創造・問題解決型」のものにします。
そのために、参加者に向け、事前に会議の目的、議題、アウトプットの目標などを明確にして知らせ、検討に必要な資料を各自に与えるのがファシリテーターの役割です。
参加者全員が本音で自由闊達に発言できるような雰囲気を作るために、会議の参加者全員、そして誰よりもファシリテーター本人が楽しむことが必要です。
開始時には、議題をいったん横に置き、アイスブレイクによって、みんなの意識を話し合いの場に集中させます。アイスブレイクの例は、デキるコンサルタントなら覚えておきたいアイスブレイクの進め方という記事で詳しく紹介していますので、参考にしてください。
参加者の意識がほぐれたら、この場が目指す目的とルールを全員で有しておきます。

参加者全員が当事者意識を持ち、自分はこの場に欠かせない人間だということを認識し、自然と発言したくなるような空気を生み出すためには、ファシリテーターは「最高の聴き役」」に徹することが求められます。
誰の、どのような意見も肯定的に受け止めて、「どんな話も聞いてくれる」と感じてもらうことで、たくさんの意見を引き出すことができるのです。
話したそうにしている人に声をかけ、話が長い人をうまくなだめ、鋭い意見にはフォローを入れ、とにかく場を盛り上げます。相手に配慮することで意見が出やすい空気を作っていきます。

2.意見を受け止め、引き出す

発言しやすい雰囲気が整ったら、いよいよ本題に入ります。
議題に対してメンバーから自由な意見を聞き出し、受け止め、時には質問や合意をしながら、その意見に込められた意味を掘り下げていきます。

すべての意見は、「誰が言った」ではなく「何を言ったか」ということを重視します。
上下関係などはアイデア出しのテーブルに持ち込まない姿勢をとることが大事です。
ファシリテーターは、参加者に対して、問題の本質をえぐる質問を投げかけ、参加者の意見やアイデアを活性化させます。
ここでは、会議をしっかりと結論を得るところまで導く会議のレールを敷く力が必要とされます。何を話すべきなのかを明らかにし、そこに対して結論を得られるように道筋をつくり、脱線しない会議にしていきます。

3.意見を整理して、絞りこむ

出てきた意見やアイディアをロジカルに整理しながら、採用するものを絞りこんでいきます。出た意見やアイディアをホワイトボードなどに書き出し、必要によってそれらをビジュアル化して理解を助けます。
発言内容を周りの人に浸透させたり、話し手の発言内容から明確な論点をまとめ上げたりする、要約力整理力が必要になります。会議に参加している人全員が理解できるように、ポイントをまとめて、わかりやすくシンプルに言い換えたり、論点を抽出する力なども求められます。議題テーマや意見を分類したり、必要に応じてテーマを設定したり、各個人の発言内容に共通項を見出して、どのテーマに属するのかなどを整理します。
そして、その整理の結果が適切かどうかを全員に問いかけ、納得していることを確認します。もし納得できていない参加者がいれば、納得できるまで話を詰めていきます。
参加者全員の認識にズレがなく、決定事項に納得感を持ってもらうこと、言い換えれば、ひとりでも理解できていない人がいたり、納得できていない人がいると、最後の最後でひっくり返り、話し合いが白紙に戻ってしまうかもしれません。
出された意見を復唱することで「あなたの話を聞いていますよ」と発言者を安心させたり、全員で共有しつつ、不服そうな顔をしている人や困ったように首をかしげている人がいないか、つねに全員の反応に目を光らせます。
発言が少ない人にもいち早く気づき、フォローを入れます。
会議やミーティングには、必ず目指すべきゴールがあります。参加者全員をそのゴールに向かわせることがファシリテーターの役目です。出てきた意見はゴールに向かうためのものになるか、ひとつひとつ冷静に見きわめ、一歩引いた視点から全体を俯瞰します。
「今は何について話し合っているか」
「この議論の先で求められる目的は何か」
こういったことを見失わずにいることで、話が横道にそれてしまいそうな時には軌道修正をするなどし、効率よく活動を進めることが重要です。

議題に沿って優先して論じられるべき論点を提案したり、意見が衝突した際には論点を抽出したりする比較力会議の構造を見える化させる力なども必要です。
それまでに出た意見とは反対の立場やより広い枠組みなどを提示することで違った観点からの意見をうながしたりしながら、より多くの発言を引き出していきます。

4.まとめる

最終的には、整理した内容をもとに判断を行っていきます。
ここで重要なのは、明確な判断基準を提示することです。「どの意見が最もメリットが大きく、最もメリットが少ないか」「どの意見が費用対効果が最も大きいか」など、全員が納得できる判断基準をもとに、望ましい結論を導き出し、その結論に全員が納得しているかどうか、改めて確認をします。
その上で、その結論を実際に遂行していくために、「誰が」「何を」「いつ」行うか、という具体的な行動計画を立てます。
予定の時間内に会議を終わらせるタイムキーピングもファシリテーターの大事な仕事のひとつです。
終わりに近づいたら、決定事項や継続討議事項を簡潔にまとめ、次回までの課題や役割分担を明確にします。

話し合いやミーティングを成功させるファシリテーターに必須の能力とは まとめ

いかがでしょうか。ファシリテーションは難しそうだと思っていた方でも、ちゃんとポイントを押さえてみれば、なんとなくできそうな気がしてきたのではないでしょうか。
コツさえ覚えてしまえば、ファシリテーションは特殊なスキルではありません。コツといっても、普段のコミュニケーションで多少なりともやっていることを、明確に意識して、うまくやればいいのです。
なんとなくやってうまくいってきたあなたも、ぜひ、これからは意識的にやって、うまくできる確率を上げてください。