マネジメントにも不可欠なストレスケアの今注目の手法
「マインドフルネス」とは?

会社のリーダーや経営者は全てのことに目を向け、多くの社員が働きやすい環境を作っていかなければなりません。
特に住宅業界は一つの作業に関わる人も多く、ミスなどが起こらぬよう、そして関わる人たちのモチベーションを下げぬよう常に気を張ってなければならないと思います。
しかしリーダーと言えど人間です。人に気を遣う分、日々多くのストレスを抱えていることでしょう。ストレスは職場の環境を悪くしてしまうどころか自身の体への負担も大きく、仕事をする上で大敵です。

今注目のストレスケア方法が、誰でも簡単にできる「マインドフルネスストレス軽減法」というものです。
ストレスのない状態は自分だけではなく、同僚や関連会社、そしてなによりお客様にとってもプラスの要素をもたらします。「マインドフルネスストレス軽減法」を取り入れ、上手にストレスと向き合っていきましょう。

「マインドフルネスストレス軽減法」とは?

「マインドフルネスストレス軽減法」を語る前に、そもそもそれが何であるか知らない人も多いと思います。
マインドフルネスストレス軽減法とは、1979年にマサチューセッツ大学によって開発されたストレスを低減する心理学的治療の一つです。瞑想とヨガの要素を医療として発展させた心を健康に保つストレッチのようなもの、と言うと分かりやすいかもしれません。

仏教の思想から生まれたとも言われる、マインドフルネスストレス軽減法の定義は、“一瞬一瞬の呼吸や体感に意識を集中させ、ただ存在すること”。今そこに生きていることをきちんと実感し、自分自身と向き合うことを習慣づけます。これによりストレスが軽減され、自分にも周りにもプラスの影響を与えていきます。

なんだかスピリチュアルな面が大きいように感じられるかもしれませんが、医学、心理学の分野に加え科学的にもその効果が証明されています。
実際に経営学やリーダーシップ開発の分野でも使用されており、あのスティーブ・ジョブズやビル・ゲイツ、さらには安倍晋三首相といった世界の名だたるリーダーたちも実践しているようです。
多くのリーダーたちがこぞって行うマインドフルネスストレス軽減法は、上に立つ者にとって必要なものの一つですね。

マネジメントを成功させる上で、まずは心が健康でなければなりません。
住宅業界においては、お施主さんと現場の間で板挟みになったり、自分より経験や年齢が上の立場の人へ指示をしたり心労がどうしても付きまとってきます。
場所を問わずどこでも20分ほどでできるこのマインドフルネスストレス軽減法はあなたを守る手段となってくれるかもしれませんね。

マインドフルネスストレス軽減法による3つの効果

精神的効果

マインドフルネスストレス軽減法による3つの効果
マインドフルネスストレス軽減法による効果は数えきれないほど膨大です。
まず挙げられる最も偉大なる効果は、精神面でのメリットです。なんと言ってもマインドフルネスストレス軽減法はストレスや不安を減少させる効果が絶大です。

リーダーであるがゆえ、自分の関係ないことで怒られたりよからぬクレームを言われたり、時には理不尽すぎることで批判されることもあるかと思います。それもリーダーの宿命です。
様々な声にきちんと耳を傾けつつ、あなた自身のストレスも上手に浄化させなければなりません。誰かに当たったり不機嫌な態度を見せたりしては状況を悪化させるだけです。常に見られる仕事でもあるので、できるだけ自分でうまくストレスを解消して、同僚やお施主さんたちといい関係を築いてください。

また、同じ精神的効果としてメンタルが強くなり決断力が高まる効果もあります。
建築の現場ではとにかく決断の連続で、リーダーにはその決断力が求められてきます。すぐに正しい決断ができるリーダーは尊敬され信頼される存在となっていくでしょう。
そして同時にマインドフルネスストレス軽減法は、決して他人のせいにしない心の強さや器の大きさを作り出してくれます。自分と向き合うことで自身の欠点を知り、改善しようとする心理状態を導いてくれるからです。
現場の風通しの良さは、職人さんや同僚たちのコミュニケーションを保つ上で大変重要です。あなたが「なんでも受け止めてくれそう」な人となることで小さなことでも相談をしやすい環境ができ、“より良い住宅作り”に徹することができるでしょう。
お客様満足度も高まりますね。

能力をアップさせる効果

次に挙げられるのは能力の向上です。もちろん自分の知識レベルをあげていくためには勉強をする努力が必要ですが、マインドフルネスストレス軽減法にはその努力を最大限活かす力があります。

まず、マインドフルネスストレス軽減法を行うことによって集中力がアップするので記憶力が向上します。
今までは何度やっても覚えきれなかったことが数回でスーッと頭に入ってきて、勉強をすることが楽しくなっていくでしょう。
さらに、脳の情報処理スピードも速くなるので基礎が頭に入っていれば、応用力も高まります。

住宅業界は法令が常に付きまとう業界です。
ごまんとある法令をすべて暗記することは難しいですが、それを知っていれば年齢問わずリーダーとして認められる可能性が高いです。
さらにトレンドにも目を配らせない仕事でもあるので、効率よく頭を使うにはマインドフルネスストレス軽減法はとても有効と言えそうですね。

あなたの身体に働きかける効果

最後にあなたの身体面にも多くのメリットをもたらします。
住宅業界は他の業界に比べ特に体が資本です。現場から質問も常に飛び交うので、1日欠勤するだけでもかなりのリスクを伴います。また特に経験豊富な職人さんは健康管理が上手な人が多いので、もし風邪などで現場に出られないとなると信頼も失いかねません。
そんなときマインドフルネスストレス軽減法を取り入れていれば健康的な体を作り上げることが可能です。

まず免疫力がアップするので風邪などをひきにくくなります。さらに朝早く出勤しないといけない時も多いかと思いますが、深い睡眠がとれるようにもなるので寝起きのだるさともサヨナラできますよ。

マインドフルネスストレス軽減法のやり方

さて、こんなメリットだらけのマインドフルネスストレス軽減法ですが、いったいどのように行えばいいのでしょうか。
実はこのマインドフルネスストレス軽減法は独自で応用し発信されているものもあり、数多くのやり方が存在します。
しかし基本的な方法は「サマタ瞑想」と「ヴッパサナー瞑想」の2つです。
このベースとなる2つをマスターすれば自然と効果を感じられますよ。

“今に集中する心”を育てる「サマタ瞑想」

まず「サマタ瞑想」についてですが、これは“今に集中する心”を育てるものです。方法はとてもシンプルで、あぐらをかいて座ったら上半身の力を抜いて自分の呼吸に意識を向けていきます。そして呼吸のたびにお腹が膨らんだり凹んだりするのが分かってきたら、今度はそれをそっと見守っていきましょう。吸った息が体全体にいきわたるようなイメージで、今の瞬間を注意深く感じてください。

目をつぶっているとテレビの光景が思い出されたり、過去の思い出が浮かんできたりするかもしれませんが、そこに決して留まることなく“あなたの呼吸”だけに集中するように注意しましょう。そういった邪念がなくなってこればこれにて終了です。だいたい10分くらいを目安に最後はまぶたの裏に注意を向け、そっと目を開けてください。

この呼吸のみに集中を向けることは意外と難しく、最初のうちは苦労するかもしれません。そんな人は、4つ数えながら鼻から息を吸い込む→7秒間息を止める→8つ数えながら口から息を吐ききるという呼吸方法を1回に3セットを目安に取り入れてみてください。これはGoogle社でも行われているというやり方で、椅子に座りながらでもできる手軽さもあります。呼吸に集中しにくい人は無理せず、この方法からスタートしてみましょう。

自分の心の中を観察する「ヴッパサナー瞑想」

次に「ヴッパサナー瞑想」についてですが、これは自分の心の中を観察する瞑想になります。この方法の主な目的は“ありのままの現実を受け入れる心”を育てることです。向き合いたくない現実を受け入れ、自分自身の欠点を見出すきっかけとなるでしょう。

「ヴッパサナー瞑想」のやり方は、まず「サマタ瞑想」と同じように呼吸に集中をもっていきます。そしてそれが完成されたら次に心の中を観察してみましょう。無に違い状態になることで心に秘められていた感情や思想を見つけやすくなっていきますよ。感情が浮かんできたら、その感情を見守ってください。

例えば「つまらない」という感情が浮かんできたら、それをどのように自分は感じているのか改めて実感してみてください。またもし職人さんやお施主さんと意見の対立が起こっている場面が浮かんでしまってもそこから目を逸らさず、自分の感情をしっかり受け止めてみてください。

これはいわば、気持ちに免疫力をつけるマインドフルネスストレス軽減法です。
辛いことから目を背けるのではなくそれをきちんと見届けることで心を強くしていきます。
ただこの時に注意をしたいのは、そこで現れた感情に対して考えこんだり、抵抗したりしないことです。
あくまでその様子を“目撃する”という立場で心の動きを見届けるようにしてくださいね。
こちらも自分の感覚で10分ほど経過すれば終了です。まぶたの裏に意識を向けながらそっと目を開けてください。

「サマタ瞑想」も「ヴッパサナー瞑想」も毎日行うことで慣れてきます。もちろん継続的に実践することで効果も現れやすいので、1日20分、マインドフルネスストレス軽減法を行う時間を設けてみてください。

まとめ

最近多くのメディアでも取り上げられ話題となっているマインドフルネスストレス軽減法ですが、その効果や方法を知っている人は少ないかもしれません。
人は、ただでさえ日常でストレスを感じています。それが住宅業界のリーダーともなれば、自分と現場などの間で嫌でも多くのストレスに出会う場面があるでしょう。
ストレスを溜めることでいいことなんて一つもありません。
ならば、うまく自分でコントロールし、ワンランク上のマネジメントを行えるよう努力してみてくださいね。