惰性で現場監督の仕事をしていないかチェックするためのチェックリスト(全20項目)


現場監督として活躍していて、ずいぶん仕事にも慣れてきて毎日が充実している。なんて楽しいんだろう!と思っていても、ついつい油断してしまうのが人間です。重大なミスにつながるような行動を取っていたり、本来のルールを破っていることに自分では気づかなかったり、……。頭でわかっていることと実際に行動できていることは違います。

また、現場は冬は寒く、夏は暑いのは当たり前です。体調管理などをしっかりしていないと、仕事のレベルが下がります。どれだけ集中しているつもりでも、やはりパフォーマンスは落ちてしまいます。

現場監督としての心構えや感情について

□1. 家を建てた後の感動や達成感、感謝の気持ちが昔と比べて少ない

家を建てた後の感動や達成感、感謝の気持ちが昔と比べて少ない現場監督の仕事の喜びは、いうまでもなく住宅引き渡し時のお施主様の笑顔ですが、新人の頃はお施主さんのちょっとした言葉や笑顔が嬉しく、家が完成したときの感動は言葉にならないものであったと思います。しかしそれを繰り返していくことで家を建てる素晴らしさが当たり前になっていき、感謝の気持ちが薄れてしまいがちです。
家は完成するまでにとても多くの人が関わっています。それは一緒に働いている同僚だけではなく、材木屋さんや配送業者さん、地盤調査会社さんなどたくさんの裏方さんたちにも支えられて成り立っていることでしょう。しかし実際にお施主さんの笑顔を直接見ることができるのは現場監督であるあなたも含めた、ごく一部の人のみです。感謝の気持ちを忘れそうになったときは、そのありがたさや他の人の想いがあることを今一度思い出して下さい。

□2. 現場に緊張感がない

現場に緊張感がない現場に緊張感が漂っていないことで起こることはどれもマイナスの要素ばかりです。この悪い傾向に最も影響を与えることができるのは現場監督ではないでしょうか。現場監督の言動は職場の雰囲気を左右します。万一、現場監督に適当な態度が見られたら周りの人にも甘えが生まれてしまうでしょう。
厳しくすることだけがいいことだとは限りませんが、ほどよいタイミングで現場を締め、メリハリのある環境をつくりましょう。

□3. 細かいミスが増えてきた

細かいミスが増えてきたミスのほとんどは、心の甘えから生まれるものです。特にそれが細かいものであればあるほど、注意力が欠けている証拠です。仕事に慣れてくるとミスへの対処もうまくなっていくものですが、対処ができたからといって満足をしてはいけません。何が原因で起こったのか、根本から見つめ直し二度と起こらないように対策をとりましょう。
また、仕事を始めたばかりの頃は覚えることがたくさんあったので常にメモを取っていたと思います。もし最近ミスの数が多いなと感じたならば、初心に戻り“メモをとる”ところから始めてみてもいいかもしれません。

□4. ここ一年、ヒヤリとするような失敗やミスをしていない

ここ一年、ヒヤリとするような失敗やミスをしていないまた、かえってミスをしていないと自覚している人も注意が必要です。大きなミスは順調に行っているときほど起きるもの。「自分は大丈夫だ」という思い込みがミスに繋がる原因を見逃してしまい、後に大きな事態を招きかねません。
特に自分だけではなく周りの人の安全も背負っている現場監督にとって、気の緩みは禁物です。念には念を入れる心意気で常に細心の注意を払って下さい。

□5. 常に受け身である

常に受け身であるここ数年、気が付いたら家づくりが言われたことをやっているだけの作業になってはいませんか? もちろん任された任務を全うすることは大切なことですが、それが受け身の姿勢ではいいものというのはできにくくなります。家づくりは十人十色です。お施主さんそれぞれのライフスタイルや想いがあります。それを「自分が全て叶える」という能動的な姿勢で向き合ってみるとお施主さんの満足度が上がるだけではなく、より現場監督としての仕事が楽しくなるでしょう。
現場監督を夢みたころには誰しもが理想像を掲げていたと思います。最近、受け身がちだと感じている人は、今一度その自分の理想を思い出し、向上心を高めましょう。

□6. 仕事が気分に左右されやすい

仕事が気分に左右されやすい新人の頃はすべてが新鮮で、毎日が努力の連続であったと思います。そのため自然と高いモチベーションが保たれていたことでしょう。しかし仕事に慣れてくると、どうしても新人の頃のようなモチベーションを常に持つことは難しくなってしまいます。
ただ、本来仕事はモチベーションでするものではありません。体調が優れなかったり気分が上がらなかったりしても、自分をコントロールして最高のパフォーマンスを目指すことがプロであり、一流の現場監督です。気分のムラなどに左右されず、一定の質が保たれた仕事をすることを心がけて下さい。

□7. 後回しにする案件が増えた

後回しにする案件が増えた仕事の段取りが分かってくると、どれくらいのペースで行えばいいのかギリギリのラインも分かってくると思います。しかしだからと言ってすぐにできることを後回しにしてはいけません。その少しの積み重ねが後々響いてきます。工程のチェック回数が減っていたり、搬入品のチェックが溜まっていたりしている人は要注意です。
現場では予期せぬ追加作業が発生することも多々あります。常に先回りをしてすべて早めに終わらせるくらいの心掛けをして下さい。

□8. 同じ価値観を周りに求めがち

同じ価値観を周りに求めがち経験が増えてくると自分なりの価値観が生まれるので、人にそれを押しつけてしまいがちです。しかし現場の意見やお施主さんの意見にも耳を貸すことを忘れないでください。多くの場合、意見を押しつけがちな人はその自覚がありません。なので、自覚のないまま身勝手な発言や行動を繰り返し、気がついたときには周りから「自己中心的な人」と評価されてしまっているかもしれません。
もちろん現場監督としての立場で提案をすることは重要ですが、他人の価値観を認めつつ自分の想いを伝えましょう。視野を広く持つことで自分自身の成長にも繋がります。

現場監督としての行動や態度について

□9. 現場が整理整頓できていない

現場が整理整頓できていない自分が今担当している現場を見回してみてください。使った道具がそのままになってはいませんか? 現場における整理整頓の主な目的は、「安全管理」と「作業効率アップ」です。整理整頓が行き届いていない現場は、安全や作業効率が不安定ということになります。現場の中には「5S活動」といって、「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」をスローガンに掲げて推進しているところもあります。整理整頓の苦手な人は、決まりを作ってみるのもいいかもしれません。
この問題点は日常に溶け込みやすく、気が付きにくいですが、整理整頓はモノづくりの基本だと思ってください。スッキリとした現場はご近所さんからの評判も高いです。

□10. 元気にあいさつができていない気がする

元気にあいさつができていない気がするあいさつは基本中の基本ですが、ついつい別のことに気を取らて忘れがちになってはいませんか? ハキハキと元気よくあいさつができる現場は活気に溢れ、作業効率も高くなる傾向にあります。特に現場監督のあいさつによって1日が始まり終わる場合も多いので、あいさつ一つで、現場のやる気が変わってくると言っても過言ではないでしょう。
またご近所の方や関連業者さんへのあいさつも同じくらい大切です。自分は近頃きちんとあいさつができているか、行動を見直してみて下さい。

□11. 2~3分だけのちょっとした遅刻が増えている

2~3分だけのちょっとした遅刻が増えている現場に遅刻をすることはとんでもないマナー違反です。職場に緊張感のない空気が漂い、ましてやそれが現場監督であるだなんて非常に律すべき由々しき事態でしょう。もし「誰も何も言わないからいいや」と思っている人がいたら要注意です。職人さんたちは言葉に出さなくともこの人は信頼できる人であるかどうかを行動から見ています。それが数分の遅刻だとしても「この人はやる気のない人だ」と捉えられ最終的に損をするのは自分です。
誰よりも早く現場に出向き、職人さんたちを迎えるくらいの気持ちで臨んで下さい。

□12. 公私の区別がついていない

公私の区別がついていない最近では現場の「見える化」を求める声も多いので、現場にスマホを持ち込み、写真を撮ってお施主さんに公開している人も多いようです。しかしこれが原因で、スマホで仕事に関係のない作業がしやすくなり公私混同しがちになります。お施主さん目線に立つことはいいことですが、その“ついで”にSNSをチェックするなどしていませんか?
少しの集中力の乱れが、工期の遅れや安全性の低下に繋がることを肝に銘じて下さい。

□13. 本を読んだり、建築のことを勉強したりしていない

本を読んだり、建築のことを勉強したりしていない現場監督として仕事を極めていくために勉強は不可欠です。しかし現場監督の仕事は現場の管理だけではなく、社内書類の作成や関連業者さんとの打ち合わせなど毎日ハードな業務に追われていることも事実です。新人の頃は少しでも早く仕事を覚えようと、勉強の毎日だったと思いますが、ある程度の知識を得たことによってそれをストップさせてはいないでしょうか?
忙しさを理由にしては何も始まりません。基本的な知識をより深めることはもちろんですが、変化の多い業界でもあるのでトレンドに目を向けてみることも必要でしょう。あなたの提案の幅も広げます。

□14. 意欲的な質問が少ない

意欲的な質問が少ないまた、質問が少なくなっていることも勉強意欲低下の表れです。何度も同じことを聞くのはただの仕事ができない人と思われてしまいますが、常に学びの姿勢で新しい知識を身に付けるための質問はどんどんするべきです。今後に活かせそうなことでも「まあいいか」とスルーしてしまうことで、せっかくのチャンスを失っています。特に経験年数の多い職人さんから学ぶことは多く、現場監督としての課題を与えてくれるかもしれません。
自分を成長させるための質問には多くの職人さんが大歓迎で、誠意をもって答えてくれます。

□15. 忙しいが口癖になっている

忙しいが口癖になっている納期と常ににらめっこの建築の現場は体力も精神力も使います。天気によって作業ができないことも多く、予定通りに進まないこともあるでしょう。しかしだからと言ってネガティブな言葉ばかりを発してはいけません。特に「忙しい」はついつい言ってしまいがちですが、これはあなただけではなく周りのモチベーションも下げてしまうでしょう。
忙しいのは誰もが一緒です。ならばできるだけポジティブな言葉で、自分も周りも盛り上げたいですね。

□16. 決断を後回しにしている

決断を後回しにしている建築の現場では、現場監督の決断が必要になることが多々あります。新人の頃はいい意味で慣れていなかったため、職人さんたちの手を止めることを恐れていたり工期の遅れを心配できていたりしたので、できるだけ早い決断を心掛けていたのではないでしょうか。しかし、決断をすることは非常に頭を使います。正直、面倒くさいと感じることもあるでしょう。
でも、仕事のできる人はすぐに決断を出しています。決断が遅れることのしわ寄せは職人さんやお施主さんにいってしまうことを理解しているからです。多くの職人さんが、仕事のできる現場監督と一緒に仕事がしたいと思っています。間違っても職人さんたちに決断を任せているようなことはあってはなりません。

□17. 計画倒れしている

計画倒れしている建築の現場において、スケジュールや工程が変わることは珍しくはありません。ただ、それをできるだけ響かせない計画を立てることが重要です。きちんと管理されている計画とは、細やかな部分にも気を配られている計画です。新人の頃はまだ手探りの状態であったので、あらゆる心配事項に目を向けやすくなっていたと思います。
計画が思うように進んでいないときは、もしかしたら慣れてしまったがゆえ気を配ることができていない部分があるのかもしれません。

現場監督としての体調管理について

□18. 就業中のあくびが多い

就業中のあくびが多い気が付けばあくびが出ているだなんてことはありませんか? 常に危険と隣り合わせの建築の現場では睡眠不足は致命的です。普段は注意できているのにちょっとしたことで足を踏み外すなど大けがをすることもありえるでしょう。また、睡眠不足は注意力が散漫になるので、大事故を起こしかねません。
自分だけではなく同僚、さらにはご近所の方にまで迷惑をかける可能性があります。1日に7時間の睡眠を目指すようにして下さい。

□19. 最近、風邪を引きやすい

最近、風邪を引きやすいちょっとしたことで風邪をひきやすくなっているのは体調管理ができていない証拠です。現場監督がいない現場はトラブルや混乱を招きがちですが、風邪という理由で現場監督が休むことが多くなると、より一層その混乱は広がるでしょう。だからと言って無理に現場に出て来られても他の人にうつる可能性もあり迷惑です。
経験年数の多い職人さんは、新しい現場に入る前に、まず体力づくりからするそうです。体が資本であることを分かっています。バランスのいい食事を心掛けるなど、プロとして最低限の努力はしましょう。

□20. お酒を飲むつきあいが多い

お酒を飲むつきあいが多い多くの人と関わる現場監督は、お酒の席に呼ばれることも多いです。現場の数をこなせばこなすほどその機会は多くなり、気が付けば毎週のように飲み歩いている……という人もよく聞きます。もちろん人付き合いや息抜きは大切ですが、それによって不調をきたしてしまっては元も子もありません。人付き合いの前に仕事のパートナーとしての信頼関係を失っていくでしょう。
断りにくいお誘いもあるかもしれませんが、無理をしてまでお酒のお付き合いに合わせる必要はないと思います。自分の体調と相談をしながら、お酒との程よい距離感を保って下さい。