住宅を建てる職人さんは何を考えているのか
現場監督が知っておくべき職人さんの本音

現場監督が職人さんに与える影響とは

一般的に、優れた現場監督に当たると職人さんたちはほっとするといいます。「あの現場監督はアタリだ」とか、「今回の現場監督はハズレだ」などというやりとりが職人さん同士の間で行われているのです。
現場監督がしっかりせず、職人さんに信頼されないと、たとえば、こんな悪影響が起こりがちです。

施工現場で起こる悪影響

  • 職人さんから必要な情報をもらいにくくなり、効率が下がる
  • 目が行き届かずに建てる住宅の品質が下がる
  • 職人さん始め、工事の安全が確保できない
  • 現場の雰囲気が緩むことで、事故につながったり、工期が遅れたりする
  • 余計な仕事が増えて、それによってさらに労働コストが上がることがある
  • 現場監督本人の仕事も効率が悪くなり、長時間労働になることが多い
  • 優秀な職人さんを確保できない

工務店だけではなく、大手ハウスメーカー、ゼネコンなど、一言で現場監督と行ってもさまざまですが、現場監督はけっして雑用係ではないのです。

職人さんとの関係性が悪くなると、絶対にうまくいきません。現場監督にとって重要な仕事である、進行管理、品質管理、安全管理、原価管理など、すべてに悪影響を及ぼすのです。

職人さんたちは、その道のプロです。段取りよく、効率よく、仕事をする達人です。ですから、きちんと信頼関係が築ければ、監督を助けてくれる頼もしい味方になってくれます。そして、一緒になって家を建てて完成させていき、お互いを認め合える間柄なのです。

職人さんの本音とは

職人さんたちの本音はものすごく大切なヒントとなります。そんな本音を参考にしながら、職人さんたちから愛される現場監督になってください。そして、いい家を築くために、まずは信頼関係を築きましょう!

まずは、全国のさまざまな現場で働く職人のみなさんに教えてもらった本音の中からポジティブな意見を紹介します。

こんな現場監督がうれしい

こんな現場監督がうれしい

  • 「提案をしても聞いてくれなかったり、聞いたふりだけする監督は意外と多いのでそういう人にはもう二度と提案したくないが、熱心に聞いてくれて施主さんと相談してくれると提案しがいがあります」
    どんな仕事でもそうですが、責任感のないリーダーについていく人は少数派です。現場の意見とお施主さんの意見をすべて取り入れることは難しいことですが、その間にきちんと入りバランスを取ることができる現場監督は職人さんから好かれます。
  • 「私語ばかりしている現場監督は信頼されないし(工期が)遅れがちだけど、必要なとき以外は話さないくらいの監督さんでも、信頼できる人は多いし、無駄話をされるよりはいいです」
    慎重な作業を要する建築の現場では、職人さんはいつでも真剣です。現場を見に来るお施主さんも多いので、交流を図ることも大切ですが、無駄話がすぎると、それをよく思わない職人さんも出てきます。手を止める時間は“ほどよく”を心がけてください。
  • 「現場監督によって手を抜いたりすることはないが、いい仕事をさせようとがんばってくれる監督さんはありがたいし、やる気が出ます」
    “人を動かす”ことも現場監督の重要な仕事です。言うべきことはきちんと伝える必要がありますが、文句や批判ばかりでは職人さんのやる気も下がってしまいます。職人さんたちが気持ちよく仕事ができる環境づくりを心がけてください。
  • 「コストばかりいうのではなく、いい家とか住みやすい家を建てることに熱心な人はいい監督さんです」
    多くの人にとってマイホームは一生に一度の経験となるはずです。そんなお施主さんたちの想いを職人さんたちは責任を持って受け止めています。コストも重要ですが、いい家を建てることが最高のゴールであることを忘れないでください。
  • 「女性監督でも、いい加減な男性の監督よりもしっかりしているし、ちゃんとした仕事をする」
    女性監督が職人さんに好かれる理由は、女性ならではの気配りができる点にあります。男性よりも体力がないからといって不利になるわけではありません。細やかな対応力を活かし、活躍している女性監督もたくさんいます。
  • 「声かけが大事な気がします」
    声かけは基本中の基本です。しかしながら、作業に夢中になりすぎて「お疲れ様」や「ありがとうございます」の一言を忘れてしまう人も多いようです。どんなに忙しくても、感謝の気持ちを口にすることは決して忘れないでください。
  • 「法令とかちゃんと勉強している監督はちゃんとしていると思う」
    建築の現場には常に法令が付きまといます。それを理解した上で作業を進めることも多く、法令を無視して家を建てることは不可能です。細かな基準も多い仕事ですが、求められたときにすぐに答えが出せる現場監督は間違いなく頼られます。
  • 「いくら新人でも自信がある態度やはきはきと物を言う監督さん」
    職人さんには現場監督よりも経験年数が豊富な人が多いので、中には怖気づいてしまう現場監督もいるようです。しかし、優柔不断な態度を見せるより堂々とした態度で接してもらうほうが職人さんたちは動きやすくなります。
  • 「応援したくなる謙虚な人がいいと思う」
    いくら現場を取り仕切る立場にいようとも、態度が横暴な現場監督は嫌われます。職人さんたちに“やってもらっている”という気持ちを忘れず、常に謙虚な言動を心がけましょう。「この人のためにいい仕事をしよう」と思わせることが大切です。
  • 「こっち(職人)の立場も考えてくれる現場監督がいい」
    職人さんには職人さんの意見があります。お施主さんやクライアントから無理を言われても、それをすべて押しつけるのではなく、職人さんの立場になって考えることも大切です。一方的な意見だけを反映させないように注意してください。

こんな現場監督は嫌だ

こんな現場監督は嫌だ

  • 「名前を覚えてくれない現場監督がいたのでさすがに覚えて欲しかった」
    職人の名前すら覚えることができない現場監督はまさに最悪です。そこからじわじわと監督への信頼が薄れていくことでしょう。もちろん「君」や「おい」だなんて呼ぶことはNG。年齢や経験を問わず、しっかりと尊敬の念を持って名前を呼んでください。
  • 「今までの経験上、あいさつの元気がない人、はきはきしない現場監督は問題を起こすことが多い気がする」
    現場監督の言動は職場の雰囲気に多大な影響を与えます。現場監督が元気ではきはきしていると、自然と職人さんたちの間にも和やかな空気が流れるでしょう。またそれが、あなた自身の自信にも繋がっていきます。
  • 「段取りが悪く、指示が変わることが多い」
    職人さんが最も嫌うのは段取りの悪さです。スケジュールがうまく組まれていなかったり、当初の指示と異なったりすることで、職人さんへかかる負担は図り知れません。作業にとりかかる前に適切な青写真を描いてください。
  • 「現場に全然来てくれない監督がいたが監督失格だと思った」
    現場を知らない現場監督は職人さんたちから嫌われることは明白です。しかしそれと同じく、現場に来ない現場監督も現場のことを分かっていないとみなされてしまいます。大きな問題がなくても、自分の目で確かめる努力をしましょう。
  • 「ミスを認めなかったり、ごまかそうとされたときには腹が立ちました」
    現場監督という立場から、立派な態度でいることを心掛けている人が多いようですが、その気持ちが強いがゆえ責任を逃れようとしてはいけません。自分のミスはきちんと認め、謝ることから解決策は生まれていきます。
  • 「お金にうるさすぎて、イヤミを言われると実際には手は抜かないが、やる気は下がる」
    コストを考えることは重要ですが、何よりも大切にしたいのは“喜ばれる建物を作ること”です。実際に現場では、この信念を持っている職人さんがほとんどです。コストありきの住宅づくりは職人さんたちのモチベーションを下げてしまうでしょう。
  • 「気持ちはわかるが、なにかあればすぐに人のせいにする」
    ミスの根本にあるのは現場監督の甘いスケジュール管理や的確でなかった指示などです。無理を言われることの多い仕事ではありますが、誰かのせいにしてグチをこぼすより、責任を持って仕事に励むほうが職人さんの心を捉えます。
  • 「職人同士を差別する」
    職人さんも人間なので、合う人や合わない人がいるかと思います。しかし、そんな私情は現場に持ち込むべきではありません。チームワークを作るのは現場監督です。どんな職人さんにも平等な態度で接し、平等に仕事を割り振ってください。
  • 「年下だからといって上から目線で話す」
    現場に年齢の差はありません。尊敬の気持ちを持って全ての人に接するべきです。特に年下という理由だけで上から目線での指示は「ただの偉そうな人」との印象を与えかねません。逆に年下にも気を遣って話せる現場監督は好感度が高くなります。
  • 「メモしないので何度も言わせる」
    常に忙しい建築の現場では、何度も同じことを聞かれるという行為は非常に厄介です。その度に手も止まるので、作業効率も下げてしまいます。一度聞いたことはできるだけメモをとり、余計な時間を生まないようにしましょう。

いかがでしたでしょうか。

言われてみたら当たり前のことかもしれませんが、やはり自分では気づきにくいことも多いものですね。まずは、上記をチェックしてみて、より信頼される現場監督を目指してください!