三重県の子育て世代にお値打ち高級住宅を提供している工務店、株式会社サティスホームで現場監督も務めた川瀬晋さんからの新米現場監督へのアドバイスを紹介します。
どの言葉も、日々現場で悩まれている現場監督さん、これから現場監督になろうと思っている人にとって、参考になるものばかりですので、ぜひ熟読ください!
生年月日 | 1983年1月20日 | |
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住所 | 津市一志町 | |
趣味 | ゴルフ | |
好きな食べ物 | 肉団子、チキンボーン | |
現場監督歴 | 6年 |
僕は建築の専門学校を出て、小さな建設会社で現場監督として働いていました。小さい会社でしたから、もうほぼ職人さんのようなものです。土木して、基礎を作って、大工さんの手もして、そんな現場を3年ぐらい経験しました。学校で一緒だった人にたまたま声かけてもらって、現場監督としてサティスホームに入りました。
3年間、ずっと職人さんみたいなことをしていたので、いざ現場監督になった時に、要領や進め方、大方の流れを経験できていたので、職人さんと対等に喋ることができました。わりとすんなり現場に入ることができました。
前の職場も含めて現場監督歴は6年、そのあと、営業に移りました。サティスホームでは10年目です。
初めての現場監督は、ほぼ先輩についてサポートしてもらいながらやり遂げていく感じでした。3~4か月かかりましたが、あっという間でしたね。もう、あれよあれよという間にできあがって、初めてのことばかりでしたから、気がついたらできたという感じでした。
でも、お施主様のことは覚えています。それは一生忘れないですね。自分と年齢の近い20代後半くらいのお客様で、家の完成と同時に結婚式をされて、おうちに呼んでもらいました。友達のようにお付き合いしていただき、本当にいい方でした。
自分の思い通りに仕事が進むと、それがやりがいにつながります。自分の思い通りの流れを作れるということが、やりがいのひとつです。お施さんの思い描いていることを実際に職人さんと形にできることが一番。それがまたお客様が思い通りになっていて喜んでいただけるという、何重もの喜びを達成できる場面が多いのが一番ですね。
現場監督は、たくさんのお客様や職人さんと出会います。月に100人の人間と会って関係性を作ります。社員が100人の会社の社長と同じですから、リーダーシップを鍛えられて、大変な人間関係のトレーニングになります。
「こういう時にこうやって叱る方法もあるんだな」「この方は、褒めるときにはこうするんだな」「こういうところでそういう形で発言をするとこういう影響があるんやな」というふうに、人の感情をすごく学べます。そういうことは工場で働いたり、レジ打ちの仕事では経験できないことだと思います。
それから、基本的に予算を合わせていくのでお金の概念がつきます。自分の担当する現場の予算の中でどうやりくりしていくか。大工さんに多めに払わなければならない時は交渉もしますし、大工さんから言われた金額を飲めないこともあります。逆に、お施主様のために職人さんにもサービスをお願いすることもあります。ひとつの金額はそんなに大きくなくても、ミスがつながると結果的にすごいことになりかねないから、こまめな管理も必要です。
建築についての知識がなかった頃はつらかったですね。建築士でも1~2年目では職人さんのほうが実際の経験が全然上です。今、試されているなというプレッシャーも感じることもありましたし、知識がないために職人さんをうまく動かせないということは、今でも若い現場監督の悩みなんじゃないかな。
勉強して、知識をつけたら、周囲からの信頼も得られるし、自分のエリアやテリトリーもできる。つながりもできます。
一軒の家を建てるまでの3~4か月の工期を管理するということですね。スタートからゴールまでをきちんと決めて、それを年間どれだけこなしていくかということをいつも考えています。工期はもちろん最低限の日数はかかりますが、現場監督の采配によって、2日空けるところを1日空けるだけで段取りよくすれば短縮することができます。そういうことが積み重ねられれば、1軒につき、ひと月ぐらいの差は出るのではないかと思います。現場監督の性格もあり、ゆっくり構える監督さんは時間もかかり、工期が長くなってしまいますね。
工期が延びると、お給料もそれだけかかりますし、ひと月縮めることができれば他のことができるわけですから、一人当たりのパフォーマンスを高めることにつながります。2千万の家を10軒作れば売上は2億、20軒作れば4億です。だらだらと仕事をすれば時間がかかることになり、軒数も伸びません。きちんと工期を管理して無駄なくやっていくことが現場監督の仕事のひとつだと思います。
常に新しいものを取り入れることを心がけています。
例えばご家族の間でもめているようなことがあります。ご家族それぞれの意見がまとまらない時は、現場監督としても、どの方の意見を一番尊重したらいいか迷ってしまいます。ご家族の中のキーマンとだけ話をしても意味がなく、立場が強くないご家族の意見も尊重して、ご家族全員が楽しんで家づくりに参加できるように、現場監督としても話し方には注意しています。
狎れ合わないということです。年齢が近い職人などと仲良くなることは大事ですが、狎れすぎると甘えが出てそれが仕事に手抜きが出てします。あくまで仕事の付き合いの一線を超えず、持ちつ持たれつという関係を心がけています。
現場監督は、社内のあらゆる部門とのやりとりがあります。設計部門との図面のやりとり、積算の金額のやりとり、営業との引継ぎ、経理などの事務方さんとのやりとり。アフターメンテナンスの部門ともコミュニケーションが必要です。自分が担当したお施主様からの電話をアフターメンテナンスから引き継いだりすることもあります。
このコミュニケーションをおろそかにすると、手戻り、余分な仕事が増えることにもつながります。現場監督がさぼると他部門に迷惑がかかることになりますから、気遣いが必要な部分です。
逆に、他部門の仕事の影響を受けることもたまにありますが、そういうときは事前の報告がきちんと来ます。そういった連携はすごく整備されていて、うっかりミスが起こらないようになっています。
定例のミーティングは週1回ですが、号令がかかれば、各部門がいつでも集まって設計と監督がやりあったりするようになっています。
プライベートでも、何かと段取りよくしたいという気持ちがありますね。予定が決まっていないと、ダラダラしてしまうのが嫌で、出かけようとするというのも職業病でしょうか。
あとは、新築の建築現場を見かけると、どこのメーカーか必ずチェックします。
それから、ニッカボッカに憧れます。一回は履いてみたい。
物差し。箒。地縄セット。
現場監督は未経験でもなれます。ものづくりが好きな人、リーダーになりたい人にはお進めしたいです。