建てた家で育った子どもさんからまた家を注文していただければ、それはすごく幸せです。(小久保 昌則さん)


三重県の子育て世代にお値打ち高級住宅を提供している工務店、株式会社サティスホームで現場監督も務めている小久保昌則さんからの新米現場監督へのアドバイスを紹介します。
どの言葉も、日々現場で悩まれている現場監督さん、これから現場監督になろうと思っている人にとって、参考になるものばかりですので、ぜひ熟読ください!

建てた家で育った子どもさんからまた家を注文していただければ、それはすごく幸せです。(小久保 昌則さん) 生年月日 1986年5月27日
住所 四日市市東日野町
趣味 フットサル
好きな食べ物 海の幸(鳥羽出身ですから)
現場監督歴 6年

 

Q.どうして現場監督になりましたか
(どうやってなったか、経験してきた仕事など、なりたかった理由、きっかけなど)

もともと高校も建築科で、建築系というよりインテリア、内装の方メインの専門学校に行っていました。前職は愛知県で、ゼネコン相手の金属工事の下請けで、手すりや金属パネルなどを作っていました。同じ三重県の妻と結婚するのをきっかけに、三重県で転職先を探し、高校の先生に紹介していただいたのがサティスホームでした。
現場監督の経験はありませんでしたが、興味はあり、自分が思い描いた家が実際に形となって残るということに興味を惹かれました。
今、サティスホームに入って6年目です。

Q.はじめて現場監督として1人でやりとげたときのことについて教えてください

最初は先輩の現場監督とコンビを組んで担当させてもらいました。入って1年ぐらいで、打ち合わせも含めて一人で現場管理をさせてもらった時は、途中で職人さんに聞かれても分からないことなどありましたけど、完成した時は本当にめっちゃうれしかったですね。できあがった家は、今考えると反省すべき点もありますが、自分が指示して作り上げたものができあがったということは、本当にただただうれしかったです。親にも連絡して喜びを伝えました。

Q.現場監督をやっていてよかったことは何ですか

お客様の期待値を超えて、「こんなにいい家ができるとは思っていなかった」とお施主様から感謝の気持ちを伝えていただいた時が、本当にうれしいです。正直、うれしくて何度か泣きそうになったこともあります。現場以外で偶然お施主様とすれ違ったときに、僕のことを覚えていて思い出話をしてくださったり、といった経験もやりがいにつながっています。現場監督をしていて一番いいなと思うところです。
自分がやったことが結果につながるというか、お施主様から感想が達成感やうれしい気持ちに結びつきやすい仕事だと思います。
その家を建てたということは何年前でも平面図まではっきり覚えているものですが、それで、その家で育った子どもさん、息子さんからまた家を注文していただければ、それはすごく幸せです。親子二代で注文をいただくことは結構あります。これは本当にありがたいです。

Q.現場監督を実際にやっていて学んだことはどんなことですか

現場のおさまりや内容が大丈夫かということを細部まできちんと確認することの大切さですね。これを怠ると後で痛い目に見るとかも起こり得ます。また、職人さんやお施主様にプラスアルファの気遣いをする対人関係も含めて、仕事をする上で、視野を広げていくことの大切さを学びました。

Q.現場監督のつらさやたいへんさを感じるのはどういうときですか

予算がないときなどに、一人親方などの職人さんに、「すみません、今回ちょっと予算がないので、これでこらえてほしいんです」というような交渉をする時には、メーカーさんなどの会社と違って、相手の生活に直接響いていくわけですから、ちょっとつらいですね。

Q.現場監督として心がけていることは何ですか

こういうふうにしたいという具体的なイメージがあるお施主様もいらっしゃいますが、お客様によっては、ごくあいまいなイメージしかないようなお施主様もいます。そういう方と打ち合わせして、こちらからの提案に「こんな感じがいい」と言っていただいた時は、本当にうれしいです。
また、現場での作業中は、どうしても埃などが立ちます。職人さんからするとやむを得ない部分もあるんですが、管理者として口で注意するだけではなく、「こんなふうにやればきれいになりますやん」など言いながら率先して動く、といったこともしながら、家づくりをしていきたいと思います。

Q.今も積極的に勉強していること、もしくは、自分はまだまだだと思うことはどんなことですか

インテリアコーディネーターの勉強をしていて、資格試験を受けました。建築雑誌に載っている「男前スタイル」「カフェ風の家」といったパッと見の印象がお施主様のご要望につながることが結構ありますから、そういう知識をもちたいと思いました。もちろん仕上がりにも影響します。

Q.施主さんとのコミュニケーションの難しさや楽しさ、感じること、工夫していることは何ですか

お施主様に安心してもらえるコミュニケーションを心がけてます。お施主様が一番ほしいのは、プロに任せているという安心感です。この人は何でも知っている、何でも答えてくれるから、この人なら大丈夫と思ってもらえるように自分を鍛えれば、言葉の使い方が変わってきます。お施主様はわからないことばかりなので、常に不安です。それをわかっていただくためには知識も必要ですし、自信をもって喋ることが必要です。「心配ないですよ、こうこうこうしますから」という安心できる喋り方をできるように心がけています。

Q.職人さんとのコミュニケーションの難しさや楽しさ、感じること、工夫していることは何ですか

職人さんはお施主様からの感謝やお礼を直接聞く機会が少ないです。大工さんや棟梁は一軒の家を建てるまでに1か月~1か月半ぐらい作業しますが、その最後の1日にお施主様が都合を合わせるのもなかなか難しいので、お引渡しの時も職人さんがいないことが多いんです。そこで、「大工さんにお礼を言えませんでしたが本当にありがとうございました」といったねぎらいの言葉、感謝の言葉を棟梁など職人さんに伝えるようにしています。

Q.他部署社員とのコミュニケーションの難しさや楽しさ、感じること、工夫していることは何ですか

部署が違って、仕事の内容の濃淡もありますが、一人ひとりの仕事の積み重ねがお施主様の大切な家づくりに最終的につながっていきます。全員で取り組んでいっていくことのやりがいもあります。

Q.現場監督あるある、ありがちな職業病を教えてください(休日でもついついこんなことをしてしまう、など)

プライベートでグループで遊ぶときなど、例えば写真を撮るときに、ちょっと率先してまとめようとしてしまいますね。

Q.まったく未経験で資格もなくて現場監督を目指す人へのメッセージをお願いします

学校に行って建築を学んでも、実際に現場に入って木造住宅のことを大工さんと対等に話すことはできません。結局、一から学んでいくことになります。会社によっても内容は異なりますから、学校で勉強したかどうかはあまり関係ないと思います。やる気、気持ちがあれば現場監督の仕事はできます。