ワンステップ上の現場監督「建築施工管理技士」を目指そう

ワンステップ上の現場監督「建築施行管理技士」を目指そう

現場監督は、施工は正しく行われているか、安全管理は大丈夫か、品質は守られているか、工程通りに進んでいるかといった事を監督し、適切な形で指導する役割を担います。現場監督は現場に張りつき、掃除から納品チェックまでの多岐な仕事を行っています。職場のコミュニケーションを円滑にすることも重要な役目です。

しかし、現場監督が工事計画や予算の決定、顧客との対応も担当するような会社では、現場をまとめるだけでなく、工事全体をまとめる役割を担うことになります。
そのような仕事は、「建築施工管理技士」という資格になっています。建築施工管理技士は、建築工事の現場で、施工を指揮監督する専門知識と能力が認められ管理者となることが認定される資格です。国土交通省が管轄し、建設業法第27条に規定され大臣指定の機関で試験が行われる国家資格であり、そのメリットの高さから建築業において非常に高く評価されている資格です。
建築施工管理技士は、現場監督としてのキャリアを考える上で、チャレンジしてみたい資格だと言えます。

「建築施工管理技士」の資格をとるには

受験資格

17歳以上から受験資格が出てきますが実務経験が必須となります。
要求される実務経験の年数も学歴、指導的な実務経験、資格などによって変わってきます。

試験

「学科」と「実地」の二つの試験に合格する必要があります。学科だけ突破すると、翌年までは学科試験は免除になるような制度もあります。

「学科」の試験は、四択のマークシート方式で、「実地」は記述式が5問です。どちらの試験でも、約6割の正答率が求められます(学科なら2級は40問中の24問正答、1級は60問中36問正答)。

年度によって試験内容等などは変更されます。必ず事前にHPで確認しましょう。

参考:建設業振興基金 施工管理技術検定

建築施工管理技士は建築士とどこが違うのか?

建築関係の国家資格としては、他に建築士というものがあります。資格取得者には高度な知識と技術が期待される点では同じですが、建築士の一番大きな違いは「建築現場」への関わり方です。

両者とも工事の上流過程・管理的な立場で携わりますが、施工管理技士はより現場にダイレクトに関わります。工事の進捗に責任を持ち、作業を実際に監督するわけです。

これに対して、建築士は建築や設備の設計が中心であり、管理業務もそれに関係したものとなり、実際の現場での施工にはあまり関わりません。
ただし建築士の資格があると、いくつかの現場の監理業務には携わることができます。建築士の専門内容は建築施工管理技士と重なる部分もあり、資格試験でも要求される専門知識も、建築士の方が幅広いからです。
そのため一級建築士の資格があれば、建築・大工・屋根工事・タイルレンガブロック工事・鋼構造物の五種類の現場については、管理者業務も務めることが許可されています。

これに対し、一級建築施工管理技士がカバーしているのは、建築・大工・左官・とび大工・石工事・屋根工事・ タイルレンガブロック工事・鋼構造物・鉄筋工事・板金工事・ガラス工事・塗装工事・防水工事・内装仕上工事・熱絶縁工事・建具工事など、16種類におよびます。
やはり実際に現場監督として活動するなら、建築施工管理技士の方が使い勝手が良いでしょう。

建築施工管理技士を取得するとどんなメリットがあるか

就職や転職に役立つ

建築施工管理技士は、建築業法で設置を義務付けられている専任技術者、主任技術者、監理技術者になることができます。ニーズが幅広く、就職にも引く手あまたであるといえます。

建築業者が工事を行うには、営業所ごとに専任で業務を統括できる技術者を置かねばなりません。また一定の規模以上の工事では現場に監理技術者を常駐させることが法律で決められています。この担当者がいないと工事の許可は下りません。また名義貸しなどでごまかすと罰せられることになります。

建築施工管理技士は、弁理士や宅地建物取引士、商業施設の消防管理者の資格などと同じく、法律の規定に対処するものなのですから、その仕事がなくなることはないでしょう。永続的なニーズが期待できます。

給与、昇進にプラスになる

上でも述べたとおり、建築業種には必須の資格ですから、資格取得者はあちこちで重宝されます。それだけで高めの給与を期待できるだけでなく、会社によっては何十万もの資格手当てを用意して取得を奨励している所もあります。

管理者として中心的な役割も果たせるので、昇進を考慮する際の材料にもなるのは言うまでもありません。

独立開業も可能になる

建築施工管理技士の資格を取得すれば、自分で建築業許可の申請を出せるようになるので、独立することも可能です。
専任技術者となれる資格は、建築業を行う上で基幹となる資格です。有資格者を雇うこともできますが、自分で代用できるようになると、いろいろと業務の幅も広がります。

工事受注でプラスになる

建築施工管理技士がいることは、その会社の信用にもつながります。
建築施工管理技士の資格試験自体、一定の経験年数がある人間でないと受験できすることができません。それに合格したということは、広範な知識・能力を備えていることが国家に認められたということになります。
ですから、多数の建築施工管理技士を抱えている会社は、それなりの工事水準が見込めるだけでなく、公共工事などでの審査でも客観的な指標として重視されるのです。
公共事業はフェアに公正に判断することが要求されるので、技術力の評価として使いやすく、実際に1級資格者がいると5点、2級資格者の場合2点がプラスされます。結果としての総合評価にもプラスになるわけで、受注確率も上がるわけです。

建築管理施工技士の資格を取得するデメリット

そんないいことづくめのように思える建築管理施工技士の資格ですが、取得することによるデメリットはあるのでしょうか。

責任が重くなる

資格者となって名実ともに現場の中心になるということは、それだけ責任も伴うということです。地位や給与が上がるでしょうが、同時に会社側から期待される責任感や業務の遂行能力もそれだけ高いものになるでしょう。
人によってはそれをストレスに感じたり、オフの時も業務に頭を悩ますことがあるかもしれません。

プライベートな時間に仕事が入る可能性がある

特に少人数の会社では、責任者は現場での不測の事態に対応することを迫られます。このため、業務終了後や休日にも仕事が持ち込まれる可能性もないとは言えません。
プライベートな時間と仕事の時間を切り替えることの悩みは、何も現場監督に限ったことではありませんが、業務分担やオン・オフの切り替えをはっきりさせる必要も出てくるでしょう。

まとめ

いかがでししようか。
家づくりは、様々な技術を持つ作業員や協力会社が入り交じり、力をあわせて行うものです。施工管理がうまくいっていない現場では、工期がずるずると伸びたり、予算をオーバーしたりすることがあります。全体の工事を把握し指揮する者がいないと混乱するのです。
施工計画を立案し、指示・監督を行い、トラブルがあればすぐに対処・指示をし、スケジュールを調整する建築施工管理技士の仕事は、ことほどさように重要なものであり、工事現場に必要不可欠な存在といえます。
現場監督としてワンステップ上のスキルを確立するためにも、ぜひ資格取得を考えてみましょう。自分に合った方法で学習ポイントを押さえれば、資格取得は決して難しいものではありません。