先輩現場監督が伝授!現場で起こる失敗やミスの対処法(基本編)

現場監督という仕事はとても大きなやりがいがあり、また、きちんとした工務店であれば、先輩による指導や教育体制もきちんとしているので、順調に成長していけるでしょう。たとえば、サティスホールディングスグループの現場監督については、ほとんど辞める人がいません。また、ミスはめったなことでは起こらない仕組みが実現しています。

このように、当たり前とされることにしっかり取り組んでいる会社ほど、合理化も実現できており、長時間労働になりにくいなど、現場監督に負担がかからないような組織になっています。

ただし、そうは言っても不慣れなうちは、ミスをしてしまうもの。では、そういうときは、どうすればいいのでしょうか。

やってしまった!そんなときの失敗・ミスの12の心構えと対処法

ここでは、現場監督の基本として、ミスをしてしまったときに、新人がやってしまいがちなミスや失敗と、その対処法の基本を解説します。

すぐにやること

□ 1. 二次被害を防止する

現場監督として仕事をする中で何かしらのミスを起こしてしまった場合、そのミスを無かったことにはできません。ミスを取り返すことはできますが、ミスそのものを帳消しにすることはできないのです。そのため、意識は次のことに向けなければなりません。何に目を向けるかと言えば二次被害の防止です。ひとつのミスが起こってしまったときには、さらなるミスが誘発されてしまったり、連鎖的に新たなトラブルが生じる可能性もあるため、これを防いでおきましょう。

□ 2. 隠さないで、とにかくすぐに上司に報告する

隠さないで、とにかくすぐに上司に報告するまた、ミスが起こった際には直属の上司、さらには予め決められた相手への報告を即時おこないましょう。ミスがあるとそれを解決しようと自ら抱え込んでしまう新人の現場監督もいます。叱られることを避けるためにこのような行為に走ってしまう気持ちはわからないでもありませんが、内容によってはそれが取り返しのつかない事態を招きます。上司の介入があれば即座に解決できることも自分だけで抱え込んでしまうことによって、どうしようもない結果になってしまうこともあるのです。そのため、まずは正直に報告し、その後の打開策を一緒に練りましょう。

一人でやること

□ 3. 自分を必要以上に責めないで冷静になる

ミスを犯してしまった際には、とにかく冷静になることも重要です。責任ある現場監督だからこそ、すべての責任は自分にあると考えてしまい、自らを責めてしまう人も多いのですが、自責の念にかられていてもミスが消えてくれるわけではありません。また、反省する気持ちは大切ですが、必要以上に自分を責めても、それは冷静さを欠くことにつながります。ミスが起こってしまった上に冷静ではない状態になれば、それこそ二次被害を招きやすい状況となってしまいますので、これは避けておくべきです。

□ 4. 損害金額を計算してみる

損害金額を計算してみる同時に、現場監督は俯瞰から見る視点も重要になります。何を見るべきかと言えば、損害金額です。ミスがあった際、それがコストに影響しないミスであれば問題ないのかもしれませんが、コストに影響を与える内容であれば即座にその金額を計算しなければなりません。ミスを取り返し、元の状況に戻すためにはいくらかかるのかを考えましょう。また、その方法が複数ある場合にはそれぞれのパターンで金額を算出することも大切です。ひとりの作業員ではなく現場監督だからこそ、このような算出も重要となるのです。

参考書籍:
「世界のエリートの「失敗力」」佐藤智恵 (PHPビジネス新書)
そうです!エリートだって失敗するのです。

「失敗の教科書」宮下裕介(扶桑社)
夏目漱石だって、手塚治虫だって、矢沢永吉だって失敗しているんです。

「怒られない技術 「失敗」を切り抜ける心理テクニック」内藤誼人 (知的発見!BOOKS)
必要以上に怒らせないための心理学的に正しい方法を教えてくれます。

お詫びについての考え方・行動

□ 5. 勝手な判断で謝らない

勝手な判断で謝らない犯してしまったミスに関して、関係企業やクライアントなどに謝罪する必要もあります。しかし、これは状況に応じてということになります。重要なのは謝る必要があるケースなのか、そうではないケースなのかを最初に判断することです。つまりは何でも謝ればいいわけではないのです。場合によっては関係企業やクライアント側に何かしらの問題があって、それによってミスが生じることもあります。このような場合に謝罪してしまえば、先方に責任がある事柄でも自社や自分自身の責任にされてしまうなど、無用な責任を負うことになりますので、勝手な判断で早急な謝罪は避けておきましょう。

□ 6. お詫びは謙虚に心から行う

しかし、仮に自分に責任があり、関係企業やクライアントなどに謝罪をしなければならないとなった場合には、その謝罪は誠心誠意おこないましょう。形だけの謝罪ではなく、謙虚な姿勢で相手と向き合ってください。また、社会では謝罪にも方法があり、感情的に謝罪すればいいわけではありません。感情的に謝罪しても許されるのは子供のうちだけです。大人であり、尚且つ現場監督という立場にある人がおこなうべき謝罪は冷静なものでなければ、相手も謝罪を受け入れてくれません。

□ 7. お詫びだけではなく、改善策や善後策を伝える

また、お詫びの気持ちを伝えるだけでは相手は納得しません。相手は謝ってもらうことよりも、このあとどう責任を取るのか、どのような対処をおこなうのかということに関して、意識を向けています。そのため、謝罪に訪れるまでの間に改善策や善後策などもきちんと整理しておき、謝罪が済むと同時にそれらのプランも伝えられるようにしておきましょう。このプランが不十分だと、いくら誠心誠意の謝罪をおこなっても向き合ってもらえないのです。

参考書籍:
「はじめての男の謝罪マニュアル」男の謝罪研究会 (秀和システム)
楽しく学べます。落ち込んでいるときにはいいかもしれませんね。

組織としてやること

□ 9. 同じミスをしないためにも原因を明確にし、ルール化、仕組み化しておく

現場監督は失敗やミスが起こってしまったあと、現場環境の改善なども考えなくてはなりません。そのため、組織全体としても変わらなければなりません。ミスが起こってしまったあと、最も大切なことは同じミスを繰り返さないことです。今回起こってしまったミスが現場のルールやマニュアルに問題があったのであれば、そのものを見直す覚悟も持っておきましょう。また、人員の配置などに問題があったのであれば、増員や割り振りの変更なども含めて変えていく心づもりでいましょう。

□ 10. ミスを共有しておき同僚による再発を防ぐ

また、ミスや失敗を上司に報告することも大切ですが、この事実は現場に関わるすべての作業員で共有しましょう。さらに、改善策や善後策なども決まった段階でそれらも共有しましょう。管理する側だけでこのような事実を共有していても、実際に現場で動く人間にその事実が周知されていなければ、同じミスを繰り返す恐れもあります。また、ミスが起こったことを現場の人間に伝えることで、現場のことを最も知っている彼らから改善策などの提案があるかもしれません。こうした意見の中には納得できるものも多いので耳を傾ける意味でも話しておくべきです。

□ 11. 必要なことをしたらとにかく一晩寝る

さらに、組織として重要なことはミスが発生した際に適切な行動をとった人間をきちんと評価する姿勢です。たとえば、ミスが起こった際に即座に連絡するために走った人間、ミスを最小限におさえるために現場で奮闘した人間などはきちんと評価しておきましょう。ここでスルーしてしまうと、次回から彼らは同じ行動をとってくれないかもしれません。きちんと評価しておくことで次回もまた同じように動いてくれますので、ミスを最小限におさえることができるのです。

参考書籍:
「組織行動の「まずい!!」学―どうして失敗が繰り返されるのか」樋口晴彦 (祥伝社新書)
人は組織の中でなぜミスをするのか、どうすれば防げるのかを分析解説している非常に参考になる本です。

「失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織」マシュー・サイド(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

番外編

□ 12. ツイッターなどのSNSでつぶやくなどのことを勝手にしない

ツイッターなどのSNSでつぶやくなどのことを勝手にしない現場監督はミスや失敗が起こった際には、その後始末のために動き回ることになりますが、同時にその後の仕事も待っているわけですから、ミスが起こったあとであっても睡眠は重要視しましょう。トラブルがあると不眠不休で頑張る人もいますが、それは二次被害を生み出す可能性もあります。そのため、必要な措置を講じたあとは、しっかりと寝ることも忘れないでください。睡眠不足になると判断力も鈍るため、良い結果は得られないケースが多いのです。

また、これは現代ならではの特徴と言えますが、ツイッターやフェイスブックなどのSNSのアカウントを自分で持っている場合には、苦労している今現在の様子を書き込みたくなることもあるかもしれません。しかし、それは絶対にやめておきましょう。どこで誰が見ているかわかりませんし、そもそも仕事上の話を漏洩させることにもなりますので、職場によっては大きな問題になります。そのため、言いたいことがあっても口は閉じておきましょう。

まとめ

現場監督としてミスや失敗は防ぎたいものですが、そうは言っても起こってしまうものでもあります。そのため、起こさないことが最も大切ですが、起こってしまったとしても慌てずにその状況を受け入れ、次の一手を考えましょう。新人時代は誰しもこのような道は通るものですから、惰性で現場監督の仕事をしていないかをつねにチェックし、頑張ってください。