現場監督という仕事の6つのやりがい

現場監督の仕事は、仕事時間が不規則で仕事量も多いなど、精神的・肉体的に負担の大きいものです。
実際に現場監督はオーケストラの指揮者に例えられることもある通り、多くの職人をまとめて作業の円滑化を図り、長期間に渡って一つの現場を統括しなくてはならないため、責任やプレッシャーを感じることもあるでしょう。
しかし、それと同時に多くのやりがいにあふれる仕事でもあります。
現場監督の皆さんは、なぜそんな厳しい環境下にあっても仕事を辞めず、続けることができるのでしょうか。
現場監督という仕事を通じて得られるやりがいや、メリットについて考えてみました。

現場監督の仕事は形に残る

これは現場監督だけでなく、建築業に携わるすべてての人に言えることですが、自分が関わった仕事が住宅という目に見える形に残り、それを多くの人が目にするというのは、この仕事ならではの魅力と言えるでしょう。
自分が現場監督を務めた住宅の近くを通りかかるとき、またその住宅の話題が人の会話に上るときなど、さまざまな場面において誇らしく感じることができるはずです。

家は現場監督の作品

たとえば前述のように、家づくりに関わる人々をオーケストラに置き換えてみると、指揮者である現場監督が関わった住宅はいわば「楽曲」のようなものです。時代を超えて多くの人が楽しむ音楽と同じように、住宅もそこに残り続けます。
老朽化という一つのタイムリミットはありつつも、修繕を繰り返してその姿を保ったり、思い切って建て替えをして新たな命を吹き込んだりと、持ち手にも作り手にもさまざまな楽しみを提供し続けてくれます。
その現場を統括していた現場監督にとって、住宅とはある意味自分の作品とも言っていいのかもしれません。

現場監督の仕事は人の人生を左右する

たとえば一般家庭にとって、家を建てるということは一緒に一度あるかないかという大きなターニングポイントです。
中には何度も建て替える家庭もありますが、多くの一般家庭にとってマイホームとは「人生の夢」と言っても差し支えないでしょう。
そんな人生の岐路とも言えるタイミングに、現場監督としてその夢を叶えるアシストをするということは、現場監督自身にとっても非常に有用な経験となります。
同時に、大きな責任のある仕事であるとも言えます。

経験をスキルアップに反映

人の喜びに寄り添う思いやりを育む一方で、その経験がスキルアップにも直接関わってきます。
特にお施主様の意図や要望を汲んで形にするというスキルは、実践を通してこそ大きく伸びる能力です。人の意図を汲む、というのはビジネススキルとしても非常に高度なものなので、現場以外の場面でも必ず役に立つことでしょう。

住宅引き渡し時のお施主様の笑顔

仕事を終えてお施主様に喜んでもらう瞬間というのは、何にも代えがたい喜びがあります。
自分の仕事を褒めてもらえる、評価してもらえるということは、自分の仕事ぶりが正しかったという実感に変わり、自己評価を高めることにも繋がります。

現場監督として味わう解放感と達成感

現場を統括する責任者である現場監督は、どんなトラブルも想定しておかなくてはならないので、竣工から引き渡しまで本当の意味で安心することはできません。
そのため、完成に喜ぶお施主様の笑顔を目にするということは、現場監督にとって肩の荷が下りる瞬間でもあり、仕事の終了をようやく実感できるひとときでもあるのです。

現場監督の仕事は知識と経験の蓄積

現場から現場へと仕事を続けていく現場監督にとって、一つの現場で得た知識や経験が蓄積されていくということは、スキルアップにも直接影響するポイントです。そして、よりよい家づくりのためには欠かすことのできない要素でもあります。
特に、「経験」というスキルは実践の中でしか得ることができません。その経験を積めば積むほど任される仕事も増え、仕事内容も高度なものになっていくので、それに比例して迅速な判断力や柔軟な対応力が身に着くのはもちろん、技術の向上にも繋がります。
現場の一つ一つが学びの機会だと思えば、経験を積んだ現場監督の能力の高さにも頷けますね。

現場監督の仕事はコミュニケーションの塊

デスクワーク中心の予算管理のほか、施工管理や工程管理、安全管理などを仕事とする現場監督は、体制のチェックや進捗確認などのため、毎日のように現場を巡回する必要があります。そしてそんな現場監督にとって、さまざまな職種の職人やお施主様、近隣住人などあらゆる対象とのコミュニケーションは必要不可欠と言えます。

幅広い職人とのやりとり

特に家づくりに関わる職人は解体屋や土木屋、鳶職人や大工をはじめ、畳屋やクロス屋などその種類は多岐にわたります。一つの現場に少なくとも20種類以上もの職人が携わると言われ、現場監督はその全てとやりとりをしなくてはなりません。
それぞれの業界にさまざまな専門用語が存在するのはもちろん、業界ごとに独特の慣習があったり、場合によっては現場における常識までも違ってきたりと、全てに対応しきるのは並大抵のことではありません。
しかしそれらをこなしてこそ現場監督としての信頼も高まり、最終的には与えられる仕事の幅が広がるなど、将来にわたってのキャリアアップにも繋がるのです。
そのため、それぞれの職種における独自性や専門性を理解・尊重し、無理のないように現場をまとめていくことが重要です。
職人から「やりやすい」の一言がもらえることが、自身のやりがいにも繋がっていくはず。
段取りを重視しすぎてしまったり、職人任せにしてしまったりと、現場に負担を与える現場監督になってしまわないよう気を付けたいですね。

現場監督の仕事は最新技術の集成

最新の技術が次々に登場する建築業界において、最先端の建築技術にリアルタイムで触れられるのも現場監督という仕事の魅力です。
一度学んだ技術や知識を後生大事に持ち続けるだけでは、現場監督は務まりません。現場を通して常に技術や知識の更新を行い、現場の誰よりも最新技術に精通した存在であることが大切です。
常に知識欲を満たすことができ、それを余すことなく活かしていけるという点にやりがいを感じる人も少なくありません。
最近では太陽光発電で電力を賄うエコ住宅「ZEH」の建築も増え、エネルギー基本計画として政府目標が策定されるなど、住宅建築におけるエコへの取り組みは国家規模へと拡大を続けています。ZEHと認定されるための基準も設けられ、それに対応して現場監督に必要とされる知識や技術も増えてきているのです。
このように日々進歩と変化を繰り返す建築業界で、常に最新の情報に触れられるというのは現場監督にとって大きな財産となるでしょう。

まとめ~現場監督は現場の全てを取りまとめるコア

家づくりの現場では、現場監督がいなければ仕事になりません。どんなに素晴らしい職人が集まっても、それを活かしていく存在がいなければ意味が何も始まらないのです。
現場監督は、優秀な人材をまとめながら個々の能力を活かし、一丸となって最良の住宅をつくりあげていく家づくりの現場における中心的な存在です。
周囲に「きつい仕事」「辛い仕事」というイメージを持たれながらも、そこにやりがいを見出して続ける人が多いのには、そういった側面があるのです。
どんな仕事にも、メリットがあればデメリットも必ずあります。
自分なりのメリットややりがいを見つけ、目的意識を持って仕事に取り組むことで毎日が充実していくのではないでしょうか。